沈める寺 - 2016.01.19 Tue

ホンダーラにあるヴェーベルン寺は正義の士たちにとっての道しるべだ。本物の冒険者たちはよく相談を求めてこのヴェーベルン寺院を訪れる。
ここは許された者しか入ることが許されない神秘の空間である。悪い心を持ちながらそれを隠して助言を求めに来る者は、その悪い心が見破られてしまう。よこしまな心で無理に入ろうとすると、寺院の中にキノコのように勝手に生えた「現実の温泉」たちが、その者を悪夢の底に沈めてしまう。ここは沈める寺なのだ。
壁の向こうがどうなっているのか、一般人には知られていない。その壁には線路が蛇のように走っている。いや逆だった。蛇が線路のように走っている。そしてパイプが時計のように走っている。
寺院の主・隠者コンパニドールは白竜の白魔術師といわれる伝説上の人物で、本当にそういう人が実在するか否かも定かではない。たた、魔法使いの弟子が寺院の庭をほうきで掃いている姿がときおり見られる。寺院にこびりついた不吉な星の光をはらっているのだ。なにしろここには星々の光が過剰なまでに宅配便で届くのだから。
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