影を甘く見てはいけない - 2014.06.27 Fri
座敷蛇 - 2014.06.22 Sun

居間に列車が到着した。深い夢見へ向かうらしかった。
小さな人々がおりてきて、意識の表面へと向かっていった。
「深い夢見」へ行きたかったので、列車に乗った(どのようにして乗ったかは覚えていない)。
客車はすべて食堂車で、人気がなかった。イザベルという女が、ゾンビみたいに踊っていた。
メニューにはすべて「台湾ラーメン」とかかれていた。他のものはないらしかった。そばにいた悪魔が言った。「心配はいらないよ。辛いのは男向けだけだ。女向けのやつは、度を越して甘いんだ。特にあんたのようなスオミ人に対しては」おや、いつの間にこんなものがいたんだろう。でも悪魔のいうことだ。信用できない。スオミって何だろう?
「誤解があるといけないから言っておくけど、おれの仕事は人間の糞尿の処理だけだ。今は食事に来ただけだから安心するがいいよ。でも料理人がいないから、自分で作るほかないなあ」
どうやら列車は深い夢見には行かないらしい。さきほど客車で火事があって行先が急に変更になり、今はむしろ目覚めと現実の国へ向かっているのだそうだ。なんだ。がっかりした。乗っている意味がない。
「車庫の穴を出た向こうには」と悪魔が言った。「人語を解する信号機がいて、台湾ラーメンの材料が豊富な入り江の場所を教えてくれるんだ。台湾ラーメンというのはね、実は台湾の食べ物ではないんだよ」ぼんやりと薄れゆく意識の中で、確かそのような言葉を聞いたように思った。
イメージ:ピーター・ハミル「夢見」(Out Of Water)
「フィエスタの夜、イザベルのダンス」
天章院 - 2014.06.17 Tue

夢と現を行き来する者。
気がついたらこのブログをはじめてもう数カ月になっていた。そろそろこの「まぼろし能楽堂」の成立事情について記述したい。
このブログの前身は、もともと別の場所で数年間公開していた「夢の能楽堂」というブログだった(もともと「夢の劇場」だったが、タイトルが他とかぶるおそれが出たためタイトルを変更した)。
ところが近年このブログの記事更新に合わせて社会的・政治的な主張がなされているのではないかという疑念が生じた。私は基本的にブログで言論活動を行っていない。このような状況下にあって、活動環境の改善を求めて「夢の能楽堂」を移転する決定をした(ただし私は相手の文章をほとんど読まなかったのでこの真偽は不明である)。
ブログ移転の際、それまで訪問してくださった方々には申し訳ないと思ったが、事情が事情だけに、新生ブログのタイトルと場所については明かすことができなかった。
新しいブログのタイトルは「まぼろし能楽堂」とした。このブログは基本的に前のブログを新しく再生させたものと考えており、「夢の世界を追求していく」という基本的な方針はまったく変わっていない。前ブログに投稿した作品は今後この場で投稿しなおしていくつもりでいる。
これまで「まぼろし能楽堂」に訪問してくださった方々に、深く感謝申し上げます。このブログを創設した当時は続けることができるかどうか不安もありましたが、ここまで何とか続けることができました。引き続き今後も活動していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
山岡鐵舟 ~日本のために - 2014.06.11 Wed
最後まで語られることのなかった城 - 2014.06.06 Fri

やがて人々も海も元通りになると、花はその場に倒れ、崩れていった。後には大量のもち米が残った。
後にその米を持って帰って食べた人々に聞いたところ、特にうまくもまずくもなく、ごく普通のもち米だったということだ。
このような伝説にちなんで、毎年このオノノコの町では「ハル」を記念した祭りが行われている。このハルの祭典を、人々は植物学者にちなんでメンドーク祭と呼んでいる。
祭りの喧騒は城の彼方に消えてゆき、東十字星は西十字星にとってかわられる。古代エジプトの魔法は流砂とともにモグラやハチ娘を過去の国へと運んでゆく。リムを回す子供が薄暗い路地をかけてゆく。はるか遠くに城が見える。
城に何が住んでいるのか、誰も知らない。
ENDE