夢幻の街 - 2013.12.17 Tue

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「少年が考える大人の世界がある。子供心に考えていた街や山の向う側の世界の拡がりは、現実を飛び越えた夢想の大陸だ。
僕があまり上手ではない絵しか描けないのに漫画家になったのも、その夢大陸が気になったからだ」(「夢伝説」著者あとがきより)
解説:夢幻の街・第1部
「夢幻の街」はマンガ「夢伝説」(川崎ゆきお・青林堂)をテーマにした作品です。もともと「幻惑のブロードウェイ」(ジェネシス)のような音楽を作ろうと思ったのが、このような作品を作るきっかけでした。すべての曲は「夢伝説」をモチーフにしています。
「夢幻の街」は音による物語のつもりで作りました。
CD1枚には収まりそうになかったので、二部に分けることにしました。この作品は他の音楽とは異なり物語形式の作品なので、出来や満足度に関係なく全曲をのせています。
またまた例によってジェネシス、スティーヴ・ハケット、フループ、キャラヴァン、キャメル、エイジア、フォン・ツァムラ、ハットフィールド&ザ・ノース、遊星ミンツ、オザンナ、ラコマンダータ・リチェヴータ・リトルノ、クラシック音楽ではスクリャービンやラーション(ラルソン)など、既存のさまざまな音楽を節操もなくモデルにしました。
一番初めにとりかかったのが「怪人のアジト」で、スティーヴ・ハケットの某曲をイメージしてギターで作りました。
一番早く完成したのが「百鬼夜行」でした。これはキャラヴァンの「ウォッチャ・ゴナ・テル・ミー」(「ジ・アルバム」に収録。現在私が所有しているCDの日本語表記では「~テル・ユー」となっている)をイメージして作った曲です。
タイトル曲の「夢幻の街」はもともと別の曲として作ったものをこの作品のために作り直したものです。かなり長くなってしまいましたが、曲は大まかに3つの部分に分かれていて、第3部の終わりではスクリャービンの交響曲第1番の6楽章の中のメロディーを引用しています。
「草原の向こうに」は自分でも気に入っている作品で、フループやキャメルをイメージして作った曲です。フループ(FRUUPP)はアイルランド出身のプログレ系グループでアルバムを4枚ほど発表しており、ファンタジー的で哀愁のある音楽が特色です。この曲はフループの4作目「当世仮面舞踏会」(元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドがプロデュースした)をイメージしています。
「山の中へ」は最後に仕上げた曲で、前半はスウェーデンの作曲家ラーション(※)のバイオリン協奏曲をイメージして作ったものです。ラーションのバイオリン協奏曲は、ヴェステルベリもしくはサロネンの指揮のCDで聴くことができます。
後半はスクリャービンの交響曲第5番「プロメテウス~火の詩」を部分的にアレンジしたものです。
「謎の男たち」の原案は高校3年くらいのときにエイジアをイメージして考えたものです。イントロと中間の部分は今回加えました。
※この作曲家の名前(Larsson)はラルソンと表記されることもありますが、最近ではラーションと表記するのが一般的なので、ここでもラーションと表記しました。
城 - 2013.12.13 Fri

<コラージュ>:エレビアは日没の国。太陽は西からのぼり、東へ沈む。
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解説:ワラビ歌
いつものことですが、この作品でもいろいろな音楽をモデルにしていて、スティーヴ・ハケット、「ファッチャ・ディ・カーネ」(ニュー・トロルス)、「夏をひとつ」(倉地久美夫)、ウーノ、「アタゴオル玉手箱」(パルジファル)、「アトラス」(メレディス・モンク)、「墓場鬼太郎」の音楽などを手本にしました。
「空飛ぶお父さん」と「ラーメン屋の女の子」の2曲は「無敵看板娘」(佐渡川準・秋田書店)をテーマにした曲です。「空飛ぶお父さん」の中間部はトニー・バンクスを意識しました。
「エトガー・エンデの世界」は画家エトガー・エンデの絵をテーマにした1つの曲ですが、CDにするとき便宜上曲の個々の部分ごとに分けてしまったため、現在不自然な形になってしまっています(余裕があったら直したいと思います)。ノヴァリスの「ゾンマーアーベント」に刺激されて作った曲です。
一部公開されていないのは、ラウタバーラの「ブック・オブ・ビジョンズ」の部分を引用してしまったからであり、同じくラウタバーラの「キリストと漁夫」も使ってしまったからです。
ぬけられる夜 - 2013.12.08 Sun

<コラージュ>
どこかに朝の世界が存在するが、どこにあるのか誰も知らない。知っているのは電車だけだ。県庁所在地の木造ビルジングの壁は柔らかくてぬくぬくと暖かく、ねっとりとした湿気を有する。この壁にはさまれると普通は出られなくなる(というより出たくなくなる)のだが、まれに電車がここを通過することに成功する。夜の町の住人たちはみなそれを喜び、祝福する。
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解説:「朝の世界」
東洋をテーマにした作品です。たしかこの作品のほうが「神秘ロマン劇場2」よりも前に作ったと思います。いくつかの曲は出来が気に入らず、後で直したものをのせました。
モルゲンラントという言葉はふつう中近東諸国をさすようですが、ここでは大まかにアジアをあらわしています。
マー・ワラー・アンナフルとはアラビア語で「川向こうの地」を意味し、中央アジアのアム川からシル川にかけての地域をさす用語です。ここでは後に修正したものをのせています。
「宝のある島」はまだSinger Song Writerを入手する前にピアノ用に作った曲をアレンジしたものです。これを作った当時はエスニックな音楽に強い関心をもっていました。
「グルメジャンの神秘思想家」でイメージしているのはグルジェフです。この曲ではグルジェフの音楽やアゼルバイジャンの音楽をイメージしています。
ミナレッ塔 - 2013.12.03 Tue

<コラージュ>:マー・ワラー・アンナフルの空に人々の祈りの声が響く。この塔に入っても、外には出られない。なぜなら塔内のすべての扉は別の世界へ通じているのだし、入ったとたんに別の存在に夢変化しているのだから。
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解説:「神秘ロマン劇場2」
「神秘ロマン劇場2」を作ったのは「朝の世界」より後ですが、便宜上「朝の世界」より前にしてあります。
「ロマンティック」はブルックナーの交響曲4番と5番をもとにしていて、それぞれの2楽章から1部を引用しています。ちゃんと音とりしたわけではなく、記憶に頼っていいかげんに作ったため、ひょっとしたら原曲と違っているかもしれません。
「カオス」のタイトルは「キン肉マンⅡ世」に由来しています。この曲は出来がなかなか気に入らず、2回ほど直しました。ここにのせているのは直したものです。
「魔法の学園」はもともと「クラバート」というタイトルでした(同名のカレル・ゼマンのアニメーションに由来)。確か道を歩いているときに曲を思いついた記憶があります。
「塔」のもとになった曲は高校3年のときにギターで作った音楽で、オザンナの「城」(アルバム「人生の風景」収録)という曲をイメージしています。私が自分でも音楽を作るようになったのは高校2~3年くらいの時期で(譜面の読み書きはこの時期に自分で調べて覚えた)、わりと初期の作品です。タイトルはキリコの絵に由来しています。
ふろ式 - 2013.11.28 Thu

<コラージュ>:
「なーるほど、あんたの言わんとすることはだいたい見当がつきました。あんたはこういいたいのでしょう“風呂場はどこだ!”」
「悪質な冗談はやめてください!!わたしは“女の裸はどこだ!”といいたいのです」
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解説:「神秘ロマン劇場」
この作品から、新しいSinger Song Writerを使って作っています。この作品ではノヴァリス(ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンド)やアラン・ホールズワース、ファイヴ・ガイズ・ネイムド・モーなどをモデリングにしています。
「あしゅら湯はどこに?」は自分でも気に入っている曲で、ノヴァリスのアルバム「道化師」をイメージして作っています。この曲と「魔法使いの弟子」(タイトルはゲーテの物語詩に由来)は「道化師」の影響を強く受けた曲ですが、「魔法使いの弟子」の方はあまりにも似すぎてしまったと思います(そういう曲はけっこうある)。
「母たちの国」の題はゲーテの「ファウスト」に由来しています。
「ラーメン屋の女の子」の旧題は「無敵看板娘」で、これは同名のマンガをテーマにした作品です(佐渡川準・秋田書店)。